石の寺 教林坊の由来
教林坊は、推古十三(605)年に聖徳太子によって創建されました。寺名の『教林』とは太子が林の中で教えを説かれたことに由来し、境内には「太子の説法岩」と呼ばれる大きな岩と、ご本尊を祀る霊窟が残され、『石の寺』と呼ばれています。
ご本尊は太子自作の石仏で、難産を帝王切開によって助けたという安産守護の言い伝えがあります。その時、傍らの小川が安産の血で赤く染まったことから「赤川観音」と呼ばれ、二度詣りによる心願成就のほか、安産・子授け・子守りの観音さまとしても信仰されています。
江戸時代前期の葦葺き書院は、里坊建築の古様式を伝える貴重な建物です。また書院西面の庭園は小堀遠州作と伝えられ、枯れ滝・鶴島・亀島など巨石を用いて豪快に表現された桃山時代を象徴する池泉回遊式庭園です。書院南面にも室町時代と考えられる庭園があり、小さいながら良くまとまった枯庭となっています。